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■  ポンと村おこし  第100.5話「タヌキそば」             ■
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illustration はなさか爺
 今日のおやつは「タヌキそば」。
「むぅ〜、何故タヌキそばにはおあげがないのじゃ」
「コンちゃん、おあげ入ってたらキツネそばじゃない?」
「わらわ、タヌキなんか好かん」
「コンちゃん、おあげ食べたいだけだよね」
「おあげ欲しい」
 コンちゃんがぼやいていると、ミコちゃんがおあげを入れてくれました。
「やったー!」
 コンちゃんの機嫌、急回復なの。
 コンちゃんとレッドのおそばにはおあげ付き。
 二人はニコニコ顔で食べてます。
 でもでも、急にレッドの手が止まりました。
 じっと器の中を見ています。
「レッド、どうかしたんですか?」
「はわわ……ポン姉ポン姉!」
「どうしました?」
「これはタヌキそば」
「ですね〜」
「はわわ……」
 レッド、全部食べちゃって、もう汁しか残ってません。
 まだおあげが食べたいとか?
「このあいだはキツネうろんでした」
「キツネうどんですよ」
「キツネうろんは、わるさをしたキツネさんでんせつ」
「そーですよ、悪いキツネさんは食べられちゃうんです」
 ふふ、コンちゃんの椅子の足を蹴っちゃうだから。
 コンちゃんも応戦してきます。
「ではでは」
「はいはい」
「このタヌキそばはだれ?」
「はぁ?」
「みどちゃ?」
「みどり、悪い事してないでしょ」
「ではでは、ぽんた?」
「ポン太はいい子ですよ」
「ふむ……ではでは、ぽんきち?」
「あー、ポン吉は遊んでばかりですね〜」
「ぽんきちですか?」
「でも、子供は遊ぶのが仕事だから、ポン吉は悪くないですね」
 レッド、唸ってます。
 でも、そんなレッドの頭上に裸電球点灯!
「ちょうろうとか!」
「あー、そうですねー、飲んだくれだしー」
「このおそばはちょうろうですか!」
「でもでも、レッド、このインスタントそばと長老のそば、どっちがおいしいですか?」
「むー!」
 レッド、また唸ってます。
「ざるそばすきすきー!」
「じゃ、長老は悪くない……」
「ではだれがおそばに?」
 って、タヌキでどうしてわたしが出てこないんでしょ?
「レッド、ほら、誰か忘れていませんか?」
「ふえ?」
「タヌキで一人、忘れてるでしょ」
「はて?」
 もう、チョップです。
 でも、レッド、首を傾げてます。
「わたしもタヌキでしょー!」
「あ、ポン姉、はいはい」
「忘れてませんか?」
「でもでもー!」
「?」
「このタヌキそばはポン姉ではありませぬ!」
 ポカン……どうしてわたしじゃないんでしょ?
 横で聞いていたコンちゃんが、
「これレッド、何故ポンではないのじゃ」
「いちもくりょうぜんでありまする」
「ポンは凶悪なのじゃ」
 もう、コンちゃんにチョップ!
 でもでも、わたし、レッドにチョップや頭グリグリします。
「わたし、レッドをチョップしたりするけど……どうして悪人じゃないの?」
「このおそばには『どらやき』はいってないゆえ!」
「!!」
 途端にみんなが背中を丸めて……
 丸めた背中が震えています!
「よってこのおそばはポン姉ではありませぬ『どらやき』ないゆえ」
 もう『どら焼き』を連呼しないでください!
 あ、あとでお風呂でいじめちゃうんだからモウっ!


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NCP5(2013)
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HP:花なんて坂ない
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