■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■ コンと村おこし 第8話「プール授業」 ■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 「コン姉コン姉!」 おお、レッドかの、朝から何用じゃ。 「コン姉、みてみて!」 「何事かの?」 ふむ、見れば紺色のパンツかの? おお、スクール水着じゃの。 「レッド、今日は水泳かの」 「はいはーい!」 わらわ、前から思うのじゃ。 ここは山の中。 立派な川も流れておる。 なのに学校にはプールがあるのじゃ。 なんでかの。 「ちょっとちょっと!」 「おお、みどり、何事かの?」 「似合ってるかしら!」 スク水を体にあてて、クネクネしておる。 こやつもプールが楽しみなようじゃのう。 「ほれ、はしゃぐのもよいが、忘れ物のないようにな」 「はーい」 二人とも返事はよいが、ちと不安かのう。 「コンちゃん、準備はいい?」 ポンの声じゃ……わらわ、配達に行く気はないのじゃ。 「お、ポン、何の準備かの」 「配達に行くんですよ」 「えー!」 「なにが『えー!』ですか……はい、バスケット」 「むむむ……今日は老人ホームかの」 「わたしが学校です」 「そっちの方が楽な気がするのじゃ」 「どっちも変わりませんよ!」 ポンの手が伸びてきて、わらわの腕をつねるのじゃ。 「痛いではないか!」 「今日は配達だけじゃないんですよ!」 「?」 「聞いてないんですか?」 「うむ」 「今日はプール授業を一緒に受けるんです」 「はぁ?」 「本当に話、聞いてなかったんですね」 「本当に初耳なのじゃ」 「昨日、お店で村長さん話してたでしょ!」 「寝てた……」 「バカ」 ポンにバカと言われるとムカつくのう。 「ともかく、今日はプール授業一緒に受けるんですよ!」 「ふむ……まぁ、たまには水遊びもよいかのう」 「コンちゃん、遊ぶ事しか考えていませんね」 「そう言うポンはどうするつもりじゃ?」 「えへへ……わたしは監視係がんばります」 「つまらなくないかの?」 「高いイスに座って、『コラー』とか言うんです」 「ちょっと楽しそうかのう」 で、プールなのじゃ。 今は女子更衣室なのじゃ。 「ちょっとちょっと!」 「おお、何じゃ、みどり」 「似合ってる?」 さっきも言っておらんかったかの。 今度はちゃんと着て、クルクル回っておる。 「どう? どう!」 「うむうむ、似合っておる、はしゃぐでない、転ぶぞ」 「わかってるわよー!」 ツンツンして、行ってしまいおった。 ポンもスク水で登場じゃ。 「みどり、プール楽しみだったみたいですね」 「まぁ、子供ゆえ、のう」 「ねぇねぇ、コンちゃん」 「なんじゃ、ポン」 「似合ってる? かわいい?」 「はぁ?」 「ねぇねぇ!」 ポンがスク水でクルクル回っておる。 「わらわにどう言って欲しいのじゃ!」 「むー、わたしですね、どら焼き級なんですよ」 「自分で言うのう」 「しょうがないですよ、設定じゃ『中学生くらい』なんですから」 「それで……どうしたのじゃ」 「胸はナシめだけど……結構かわいいと思ってるんですよ」 「……」 「コンちゃん、どう思います」 め、めんどうくさっ! こーゆー時は持ち上げておくに限るのじゃ。 「はいはい、かわいいカワイイ」 「棒読み〜」 「これ、チョップはよすのじゃ、すぐに手が出るから凶暴呼ばわりされるのじゃ」 「そっかなー……コンちゃん水着は?」 「……そんなのないのじゃ」 「忘れたの?」 「いや、わらわ、水着なぞ持っておらぬし」 「さっき水遊びって言ってたのに〜」 「まぁ、わらわ、別段水着なぞなくてもへっちゃらなのじゃ」 そうなのじゃ、わらわは「術」で一発解決。 指をパチンと鳴らせば、 「ほれ、水着なのじゃ」 「あー、いつものコスチュームチェンジ……」 な、なんじゃ、ポンのヤツ、ジト目で見おる。 「ちょっとその水着はダメじゃないですか?」 「はぁ?」 「おへそが見えてますよっ!」 「ビキニを着ておるだけじゃ」 「布が……面積が少なくないですか?」 お、ポン、手招きで千代を呼びおった。 「ねぇねぇ、千代ちゃん、どう思う、エッチじゃないですか?」 「うわ……コンちゃん、すごくきれい!」 「うむ、千代はわかっておるようじゃの」 「本当……雑誌のモデルさんみたい」 「ふふ、もっと言うのじゃ、綺麗とか美しいとか」 ほめられるとうれしいのう。 千代はよい子じゃ。 「千代ちゃん、よく見てください、これは女キツネですよ」 「でも綺麗だし」 「学校のプールはスク水だけなんですぅ!」 「でも、コンちゃん大人だし」 「千代ちゃん、どっちの味方なんですか」 「え……そんな話なの?」 ポンはよくわからん事で言いがかりをつけるのう。 「これ、二人ともよすのじゃ」 チャイムも鳴っておる。 「ほれ、授業じゃろう、早く行くのじゃ」 わらわ、ポンと千代の手を引いてプールサイドに出るのじゃ。 おお、子供ら、楽しそうに遊んでおる。 子供は水遊びが好きじゃからの。 わらわも大好きなのじゃ。 「……」 およ? 何事じゃ? 静かになってしもうたぞ? みんなわらわを見ておる……かの? おお、一人ダッシュしておるのがおる。 プールサイドで走ってはいかんのではないかの。 「ちょっとコンんちゃんコンちゃん!」 「おお、村長ではないかの」 「な、なんて水着なの……すごい綺麗」 「ほれ、もっと言うのじゃ、綺麗と言うのじゃ」 「じゃなくて……学校のプールでその水着はちょっと」 すかさずポンが言うのじゃ。 「村長さんもそう思いますよね、淫らですよね!」 「ま、まぁ……でも、コンちゃん、すごい綺麗ね」 「村長さん、そんな事言ったらコンちゃんつけあがりますっ!」 「でも……ここまで綺麗だとちょっと……」 「わらわ、神ゆえ、綺麗なのは当たり前なのじゃ」 ふふ、反撃するのじゃ。 「どこかの豆タヌキと一緒にされてはたまらんのじゃ」 「なんですってー!」 「ぺったん娘はスク水でちゃぷちゃぷしておれ」 「この女キツネっ!」 「その通りなのじゃ」 「けだものっ!」 「その通りなのじゃ」 「きーっ!」 今度は髭教師の吉田が来おったぞ。 めんどうくさそうな顔をして、頭を掻いておる。 「あー、パン屋の娘には子供の世話をしてもらいたいんだが……」 髭教師、わらわを上から下、下から上へと舐めるように見てから、 「グラビアでよく見る格好だな〜」 「ふむ、モデルのようであろう」 「まぁ、コンちゃんは大人だしな〜」 髭教師、頭をポリポリ掻きながら、 「別に色気はいらないから、スク水で頼むわ」 「むむ、髭男にはわらわの美貌がわからんかの?」 「ミコちゃんに言うよ」 どこでその台詞を覚えたか知らんが……ミコに継げ口されてはたまらん! 「うむ、しかたない……では!」 パチンと指を鳴らせば、あっという間にスク水なのじゃ。 「ほれ、これでよいかの」 「……」 なんじゃ…… 言われた通りにスク水にしたのじゃ。 それなのに……みなの視線がさらに熱い気がするのじゃ。 どうしたというかの。 ポンも村長も顔を赤らめておる。 プールの男共もじゃ。 しかし、髭教師だけはあきれておる。 『これ、髭教師、わらわの格好は変かの』 『おお! 何だ! 頭に声が!』 『わらわ、神ゆえ、テレパシーなのじゃ!』 『すご……』 『わらわの格好、変かの……言われた通りにしたのじゃ』 髭教師、まだ笑っておる。 『コンちゃん、すぐに元に戻って』 『お、おお……』 『スク水でその胸はかえってエロ』 「〜!」 きゅ、急に恥ずかしくなってしまったのじゃ。 kmh008 for web(kmh008.txt/htm) kmh008 for web(kmh008.jpg) NCP5(2013) illustration はなさか爺 HP:花なんて坂ない (pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=2034140) (C)2008,2013 KAS/SHK (C)2013 はなさか爺